倫理研究所

倫理研究フォーラム

純粋倫理の研究ならびに
倫理文化に関する
専門研究の成果を
広く公開・発信するために、
毎年「倫理研究フォーラム」を開催し、
発表しています。
同フォーラムでは、研究発表に続いて
研究者によるパネルトークを行ない、
発表内容について考察しながら、
分りやすく解説しています。

「倫理研究フォーラムin札幌」
を開催しました

主催:
一般社団法人倫理研究所

 2019年6月16日、札幌教育文化会館にて開催されました。参加者は267名。

 丸山敏秋理事長の司会・コーディネートの下、料理研究家で北海道倫理法人会会長の星澤幸子氏、寛ボルテール専門研究員が、“食文化”について、特に「和食」について語り合いました。

REPORT

PART:01

 第一部では寛専門研究員が、世界と日本の食文化を比較しながら、和食の定義や歴史を解説しました。

「ユネスコに登録された『和食』とはおせちに代表される伝統的な日本料理で、日本人が『和食』と聞いて思い浮かべる料理(寿司・煮物など)とは若干異なる。ユネスコの定義によると“『和食』の基礎知識や社会的・文化的特徴はお正月の祝祭において典型的な形が表れる”。近年では、おせちのような料理を作る伝統がなくなりつつあるため、日本政府は伝統を保護する意図で無形文化遺産への登録を進めた」
「世界で増え続けている寿司屋では、地元の人が食べやすいような工夫を施して提供し、日本人がそれらと認識できないような料理が寿司や日本食として食べられている。また、糖質ダイエットの影響で、日本人でさえ米(シャリ)を残すなど、日本国内でも食に対する変化が見られる。一般家庭では実際に2011年からは米よりパンの支出額が上回っている」
「人々の食についての考え方は多種多様であり『和食』についても同様。ユネスコに認定された和食と国語辞典による和食の定義だけでも、考え方にギャップがあり、その溝は埋めることが難しい」と述べたうえで、「和食」が日本のアイデンティテイーにつながる存在である以上、このギャップはできる限り埋める必要があると訴えました。

 第二部では丸山理事長、星澤氏、寛専門研究員によるトークが行なわれました。

PART:02

 トークでは、日本の食卓における「一汁三菜」が日本人の体に最も合っていて、長寿につながると、世界に誇るべき和食の力を紹介。「うまみ」を含んだ出汁、天然の塩(ミネラル)などを上手に使い、素材本来の味を楽しむことができる和食の魅力について語り合われました。また、日本食の作法には「食事は神様からのいただきものである」という、日本人の食に関する深い考えなどが現れていることなどが紹介されました。

 最後に星澤氏は料理研究家として「時代が変わっても、多くの人々に食べてもらえる和食を発信したい」と述べ、寛専門研究員も「本日のテーマである、考えよう、語ろう。が一番伝えたいこと。考え・語ることでいろいろな不思議や発見が生まれます」と述べました。丸山理事長は、正月のお節に象徴されるように、日本の食文化が古くから祭事と結びついて発展してきたこと、また東西に長く、四季のある風土が育んだ豊かな食材を、謹んでいただくことの大切さを強調しました。