守れば幸福になる厳然とした
日常の法則、生活の法則(くらしみち)。
自分をとりまく多くの人々や、
物や自然との関わりなしには
生きられない私たちです。
そこには、おのずから社会生活の規範が生まれます。
人と人、人と物、人と自然の間にある道。
幸せに生きるくらしみち。
物の世界に「物理」という法則があるように、
人間には「倫理」という法則があるのです。
「こんなときどう行動すればいいのだろう」
「どんな心がけが幸福を招くのか」
「人間関係をよくする秘訣はあるか」
「人生の岐路にたったときの心構えがほしい」
「この苦しみをどう受け止めればいいのか」…
そんな問いに答える人生の指針、道しるべとして、
人のあるべき道を純粋倫理は示します。
純粋倫理はただ知っているだけでは
意味がありません。
実際にやってみることで、正しさがわかるもの。
実生活に役立ててはじめて、
「なるほど、倫理とはこういうことか」と
腑に落ちるものです。
人間生活の規範といえば、
一般に「道徳」という言葉を連想します。
もちろん道徳は、
先人の叡智の結晶として尊ぶべきものですが、
特定の時代や
民族にしか通用しないものだったり、
「~べし」「~しなければならない」と規制が強く、
窮屈な面があります。
また、それを守ったからといって、
必ずしも幸福になるとは限りません。
純粋倫理は自分や人を縛るものではなく、
時代や場所、周囲の環境を問わず、
いつでもどこでも誰でも実行できるものです。
それを守って生活していくと必ず幸福となる。
徳と福が一致する。ここに大きな特徴があります。
純粋倫理は、丸山敏雄(倫理研究所の創立者)により
発見され、提唱されました。
丸山敏雄の遺した「万人幸福の栞」には、
そのエッセンスが17の項目に分けて
凝縮されています。
子供と親の目に見えないつながり、
働くことの意味、肉体と精神の関係、
捨てる極意、苦しみを幸福に転じる心の持ち方―
どれも日常生活にピタリと結びついた
暮らしの指針であり、
自然の法則です。
1892(明治25)年5月5日、福岡県豊前市生まれ。広島高等師範学校を卒業し、師範学校などの教諭として奉職。37歳で広島文理科大学に入学。日本の精神文化、歴史を研究するとともに、書道や和歌など芸術分野でも研鑽を積む。1938(昭和13)年に「秋津書道院」、1946年に「しきなみ短歌会」を創設。さらに、長年にわたる宗教や道徳などの研究を土台に、自らの実践、体験を積み上げながら、人間生活のすじみちを研究し続け、それを「純粋倫理」と名づけた。その後、数多くの論文を発表し、純粋倫理を体系づける。1945年に倫理運動を興し、「新世文化研究所」(現・倫理研究所)を創立。自ら陣頭に立ち、一人でも多くの人の幸せを願い、教育や講演、執筆に身命を賭す。『万人幸福の栞』『無痛安産の書』『人類の朝光』など著書多数。1951年12月14日逝去。