倫理研究所

倫理研究フォーラム

倫理研究
フォーラム

純粋倫理の研究ならびに
倫理文化に関する
専門研究の成果を
広く公開・発信するために、
毎年「倫理研究フォーラム」を開催し、
発表しています。
同フォーラムでは、研究発表に続いて
研究者によるパネルトークを行ない、
発表内容について考察しながら、
分りやすく解説しています。

「倫理研究フォーラムin金沢」
を開催しました

主催:
一般社団法人倫理研究所

 2019年5月12日(日)金沢市文化ホールにて開催しました。テーマは「錯覚の人生―発想を転換させる―」。167名の参加がありました。

 はじめに丸山理事長が挨拶に立ち、「分かっていると思い込んでいたことが、事実ではないこともある。今回、錯覚の世界に足を踏み込んでみることで、今後の人生においてその錯覚がわかった時に、それを正していければと思います」と開催趣旨を述べました。

REPORT

PART:01

 第一部は、内田智士研究員が研究発表を行ないました。

 私たちの日頃の判断や決断の中に潜む「錯覚」について、自身の体験や図形などを用いて解説。錯覚は常に身近に存在するとして「こうした錯覚の存在と原因を知ることで、自分の置かれている状況を正確に捉えることができるようになり、より豊かに生きるための発想の転換ができるようになります」と語りました。また、「人は選択肢が多いほど決断が揺らぐため、幸福感が下がる」「人間の幸福感は他人のために行動することで上がる」「自身の幸福感は周囲にも伝わる」など、各種の実験データから見えてきた心身の相関関係について、様々な事例を示しながらわかりやすく解説しました。

 第二部では、丸山理事長と内田専門研究員によるパネルトークが行なわれました。

PART:02

 最初に丸山理事長が、倫理運動の創始者・丸山敏雄が昭和24年に講話した「錯覚の人生」について触れ、日常生活において人間が持っている3つの錯覚を紹介。「①人は分からないことに対して、憂い・恐れる。②生命は個体である、という考えが錯覚である。一見、違う人間に見えるが、見えないところで人はみな繋がっている。③苦難がどうして起こるのか、苦難の意味が変わってくると軌道修正ができる。苦難が誤りを教えてくれていると考えれば、人生が変わる」として、錯覚をもたらす原因の一つに固定観念の存在があることを指摘しました。

 その後、トークでは「世の中で当たり前と思われていることを実証する、もしくは(天動説と地動説のように)その逆であることを証明する」といった科学の使命についても話が広がり、「世の中のものは、すべて科学で証明できるというのは傲慢である。しかし、我々の錯覚を正してくれるという点での科学の発達には期待したい」「錯覚は人の可能性を狭めてしまう。錯覚の人生から抜け出し、より良い人生を送るためには『どうせ』のような否定的な言葉の使用をしないことも大切である」など、様々な角度から「錯覚を見極め、正していく生き方」について話し合いました。